【完】絶えうるなら、琥珀の隙間
「う……そ……」
自分の意思とは関係なく、ぞく、ぞく、と皮膚と言う皮膚が粟立った。
唇が大きく震えて、何かを言いたいのに、まともな言葉が出てこない。
「嘘、だっ……」
不意に心臓から込み上げてきたのは、泣き喚いたくなってしまうのほどの激しい嗚咽。
泣きだしてしまえば、もしもカヤの予想が外れていた時に、死ぬほど辛くなる。
それが分かっているから、カヤは必死に涙を呑みこもうとした。
けれど、もう我慢なんて出来なかった。
だって見間違えるはずが無かった。
奇跡でも起きない限り、あの人がこの場に存在し、そして声を上げるなんて、在り得ないと分かっていても、それでも。
「―――――翠ぃいいっ……!」
カヤが泣き叫ぶと同時、その人物が布を勢いよく脱ぎ捨てた。
バサッ―――――真っ白な布がゆっくりと宙を舞い、その人の姿を露わにしていく。
滑らかな黒髪、凛とした背中、そして炎の宿る確固とした瞳。
幻かと思うほどに美しい姿を眼にした瞬間、呼吸の仕方を忘れてしまった。
「全員、剣を取れ!」
一瞬で剣を抜き取った翠が、良く通る声で言い放った。
次の瞬間、あちこちでバサッ、バサッ、と布を取り払う音が聞こえ、布の下からは武装した人間が姿を現した。
その数は、ザッと見ただけでも数十ほど。
何人かの顔に見覚えがある事に、カヤは気が付いた。
「蔵光っ……!」
隣でミナトが息を呑む。
そうだ。洞窟に居たミナトの仲間達だ。
そう理解した時には、突如現れた人物達は、狼狽える兵に向かって攻撃を仕掛けに行っていた。
そこら中で剣を討ち合う音が響き、聖堂中が悲鳴や叫びに包まれる中、翠が取り押さえようとする兵をかいくぐりながら祭壇の方へ走って来るのが見えた。
「こ、これは、一体……」
ハヤセミが愕然として言った。
予想だにしていなかった展開に動揺したのか、その足元が、フラフラと数歩よろめく。
その時、弥依彦が一瞬の隙を付いてハヤセミの腕の中に居た蒼月を奪い取った。
「しまっ……」
ハヤセミが我に返った瞬間、弥依彦は脱兎のごとくカヤ達の方へ走ってきていた。
「クンリク!受け取れ!」
「はい!」
差し出された蒼月を、カヤは飛びつく様にして受け取る。
「くっ……!」
歯噛みしたハヤセミが剣を抜きながら、こちらへ足を踏み出した。
殺される――――本能的にそう感じ、カヤは咄嗟に蒼月を守るようにして、必死に抱き込んだ。
「そこまでだ、ハヤセミ!」
ほんの真後ろで、そんな声が聞こえた。
ハヤセミに背を向けるようにして身構えていたカヤは、恐る恐る背後を振り向いた。
自分の意思とは関係なく、ぞく、ぞく、と皮膚と言う皮膚が粟立った。
唇が大きく震えて、何かを言いたいのに、まともな言葉が出てこない。
「嘘、だっ……」
不意に心臓から込み上げてきたのは、泣き喚いたくなってしまうのほどの激しい嗚咽。
泣きだしてしまえば、もしもカヤの予想が外れていた時に、死ぬほど辛くなる。
それが分かっているから、カヤは必死に涙を呑みこもうとした。
けれど、もう我慢なんて出来なかった。
だって見間違えるはずが無かった。
奇跡でも起きない限り、あの人がこの場に存在し、そして声を上げるなんて、在り得ないと分かっていても、それでも。
「―――――翠ぃいいっ……!」
カヤが泣き叫ぶと同時、その人物が布を勢いよく脱ぎ捨てた。
バサッ―――――真っ白な布がゆっくりと宙を舞い、その人の姿を露わにしていく。
滑らかな黒髪、凛とした背中、そして炎の宿る確固とした瞳。
幻かと思うほどに美しい姿を眼にした瞬間、呼吸の仕方を忘れてしまった。
「全員、剣を取れ!」
一瞬で剣を抜き取った翠が、良く通る声で言い放った。
次の瞬間、あちこちでバサッ、バサッ、と布を取り払う音が聞こえ、布の下からは武装した人間が姿を現した。
その数は、ザッと見ただけでも数十ほど。
何人かの顔に見覚えがある事に、カヤは気が付いた。
「蔵光っ……!」
隣でミナトが息を呑む。
そうだ。洞窟に居たミナトの仲間達だ。
そう理解した時には、突如現れた人物達は、狼狽える兵に向かって攻撃を仕掛けに行っていた。
そこら中で剣を討ち合う音が響き、聖堂中が悲鳴や叫びに包まれる中、翠が取り押さえようとする兵をかいくぐりながら祭壇の方へ走って来るのが見えた。
「こ、これは、一体……」
ハヤセミが愕然として言った。
予想だにしていなかった展開に動揺したのか、その足元が、フラフラと数歩よろめく。
その時、弥依彦が一瞬の隙を付いてハヤセミの腕の中に居た蒼月を奪い取った。
「しまっ……」
ハヤセミが我に返った瞬間、弥依彦は脱兎のごとくカヤ達の方へ走ってきていた。
「クンリク!受け取れ!」
「はい!」
差し出された蒼月を、カヤは飛びつく様にして受け取る。
「くっ……!」
歯噛みしたハヤセミが剣を抜きながら、こちらへ足を踏み出した。
殺される――――本能的にそう感じ、カヤは咄嗟に蒼月を守るようにして、必死に抱き込んだ。
「そこまでだ、ハヤセミ!」
ほんの真後ろで、そんな声が聞こえた。
ハヤセミに背を向けるようにして身構えていたカヤは、恐る恐る背後を振り向いた。