御曹司は偽婚約者を独占したい
「だけどさ、万が一ってこともあるから、用心するに越したことはないよ」
「はい、ありがとうございます。……でも、そもそも私って、すぐに男の人に飽きられちゃうたちだから、今回もそのうち飽きられると思うんです」
「飽きられる?」
「数年前に別れた元カレに、〝お前といてもつまらない〟って言われてフラレたんです。だから今回も、そのうち飽きられるんだろうなぁって」
これ以上、マスターに心配をかけたくない。
その一心で、精一杯イタズラっぽく笑って首を傾げた。
「こんなんじゃ、まだまだ彼氏なんてできそうにないですよね。まぁしばらくは、コーヒー豆が私の彼氏ですけど」
続けて言えば、マスターは曖昧に笑ってくれる。
こんなふうに自虐するのは切ない気もする。
でも、残念ながら元カレに「つまらない女」と言われてフラレたことは事実なのだ。