きみの知らないラブソング

「あっごめんなさい」


反射的に声が出た。そして目が合った。

綺麗な顔立ちをした男子生徒が茉衣を見ている。
謝ったのに返事はない。
まったく気にしていないのか、はたまた物凄く怒っているのか。よく分からない。彼は何も言わずに茉衣の様子を窺うだけだった。

綺麗な瞳は真っ直ぐに茉衣の姿を捕らえていた。



第一印象は、不思議な人。




茉衣はもう一度改めてごめんね、と口に出した。
そして広菜たちのところへ向かう。彼は結局、最後まで黙ったままだった。

これから関わることはないだろう。
そう、思った。





ただ、彼の美しさを思い出しては、何となく胸が高鳴るのを感じていた。
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