【短編】ホワイトデーには花束を、オレンジデーには甘いキスを(三人称)
その花束は今、佳織の目の前に差し出された。ふわりと鼻孔をつく甘い香りとかわいらしいいろどり。
「真船。好きだ。付き合ってほしい」
「課長?」
「君を入社当時から見ていた。ずっと好きだったんだ。誰かに取られやしないかとひやひやだった。来年度は部長補佐に昇格予定で仕事もステップアップする。構ってやられる時間はあまりないかもしれないが、大切にするから。OKしてほしい」
真剣な眼差しに佳織は射貫かれた。動くことも瞬きすることもできず、立ち尽くしている。
(うそ……まさか……本当に?)
でも萌絵のことがある。萌絵に了承してもらわないことには佳織は無理だと思った。思わずうつむく。その鼻先には今しがた贈られた花束がある。
(でも……受け取れない)
「即答は無理か。なら返事はオレンジデーに聞くとするよ」
「オレンジデー?」
聞きなれない言葉に佳織は再び顔を上げた。
「真船。好きだ。付き合ってほしい」
「課長?」
「君を入社当時から見ていた。ずっと好きだったんだ。誰かに取られやしないかとひやひやだった。来年度は部長補佐に昇格予定で仕事もステップアップする。構ってやられる時間はあまりないかもしれないが、大切にするから。OKしてほしい」
真剣な眼差しに佳織は射貫かれた。動くことも瞬きすることもできず、立ち尽くしている。
(うそ……まさか……本当に?)
でも萌絵のことがある。萌絵に了承してもらわないことには佳織は無理だと思った。思わずうつむく。その鼻先には今しがた贈られた花束がある。
(でも……受け取れない)
「即答は無理か。なら返事はオレンジデーに聞くとするよ」
「オレンジデー?」
聞きなれない言葉に佳織は再び顔を上げた。