【短編】ホワイトデーには花束を、オレンジデーには甘いキスを(三人称)

「女性が告白する日がバレンタインデー、男性が女性に告白する日がホワイトデー。そしてふたりの気持ちを確かめ合うのがオレンジデー。そういうのを聞いたことがないか?」
「初めてです」
「なら、オレンジデーにお互いの気持ちを確かめるのはどうだ? といっても俺の気持ちは変わらないけどね。とりあえず受け取って。返事はそのときでいい」
「はい」

佳織はその花束を受け取った。課長の想いが込められた花束。思わず見つめる。
(きれい。かわいい……)
見とれている佳織の頬に課長はキスを落とす。頬というよりは耳元に近い位置に。

「本当に好きだよ」

課長の手が佳織の背中に回り、改札へとエスコートする。ゆっくりとした歩調は佳織との別れを惜しむようだ。佳織もまた、それに応えるようにゆっくりと歩く。うれしい。本当にうれしい。
改札前でふたりは歩みを止めた。お互いに正体する。

「本当に大丈夫か? 帰れるか?」
「大丈夫です。今夜は2回目ですし、体も慣れたみたいだから。ちゃんと帰れます」
「そうか。じゃあ明日」

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