【短編】ホワイトデーには花束を、オレンジデーには甘いキスを(三人称)
シーンと静まり返る室内。その静けさとは真逆の萌絵の表情。般若のような怖い顔だ。
「な……何故?」
「佳織、自分の胸に手を当てて考えてみたら?」
そう問われて佳織は考える。もちろん心当たりはある。昨夜も真佐課長と時間を共にし、帰りには花束まで持たされた。告白もされ、天にも昇る思いだった。
それを萌絵が見ていた……?
「その顔は心当たりがあるって顔ね。佳織は真佐課長のこと好きなの?」
「別に好きだなんて」
「じゃあ何で真佐課長に近づくの? ひとのものを横取りするのが趣味?」
「そんなことしてない」
「じゃあこの写真、なんなの?」
萌絵はスマホの画面を佳織に向けた。そこには紛れもなく真佐課長が佳織の背中に手を当てて歩くふたりの姿が映っていた。
「萌絵?」
「たまたま同期が見かけて写真を撮ってくれたの」
「違うの萌絵」
「真佐課長って次の人事異動で部長補佐になるんでしょ? そんな課長に変な噂が立ったら、どうなるかしらね」
「噂?」
「部下の心をもてあそんでる的な?」
「それって……」
佳織は背筋が凍るのを感じた。もし真佐課長に噂が立てば昇進の話も消えてしまうかもしれない。人事は水ものだ。
「な……何故?」
「佳織、自分の胸に手を当てて考えてみたら?」
そう問われて佳織は考える。もちろん心当たりはある。昨夜も真佐課長と時間を共にし、帰りには花束まで持たされた。告白もされ、天にも昇る思いだった。
それを萌絵が見ていた……?
「その顔は心当たりがあるって顔ね。佳織は真佐課長のこと好きなの?」
「別に好きだなんて」
「じゃあ何で真佐課長に近づくの? ひとのものを横取りするのが趣味?」
「そんなことしてない」
「じゃあこの写真、なんなの?」
萌絵はスマホの画面を佳織に向けた。そこには紛れもなく真佐課長が佳織の背中に手を当てて歩くふたりの姿が映っていた。
「萌絵?」
「たまたま同期が見かけて写真を撮ってくれたの」
「違うの萌絵」
「真佐課長って次の人事異動で部長補佐になるんでしょ? そんな課長に変な噂が立ったら、どうなるかしらね」
「噂?」
「部下の心をもてあそんでる的な?」
「それって……」
佳織は背筋が凍るのを感じた。もし真佐課長に噂が立てば昇進の話も消えてしまうかもしれない。人事は水ものだ。