【短編】ホワイトデーには花束を、オレンジデーには甘いキスを(三人称)

「真佐課長に近づくのやめてくれない?」 
「分かった」
「約束して」
「約束する」
「じゃあその証拠に、今夜、真佐課長を呼び出してくれない?」
「課長を?」
「トモダチの萌絵さんが真佐課長の返事を心待ちにしてますって。トモダチの気持ちに応えてくれませんか?、って」

大丈夫よね?、と萌絵は意地悪に笑った。



*―*―*

もう定時を当に過ぎている。
ブラインドの向こうは群青色に染まっていた。シンと静まりかえるオフィスには真佐課長と佳織のふたりだけ。

「真佐課長」
「真船か。なんだ?」

席にいる課長に声を掛けると、モニターから視線をずらした。あたりをキョロキョロと見回し、他に社員がいないのを確認するとふわりと笑った。


「仕事終わったのか。真船……いや佳織。これから食事に行かないか?」
「あの私に構うのをやめてもらえませんか?」
「どうしてだ?」
「あの、会社の中で噂になると仕事しにくくて」
「石川のことか? それなら気にするな。ちゃんと断るつもりだ」
< 30 / 34 >

この作品をシェア

pagetop