【短編】ホワイトデーには花束を、オレンジデーには甘いキスを(三人称)
真佐課長の真剣な眼差しに佳織は怯む。
(好き……このひとのことが好き。でもあきらめないと、萌絵が密告するって)
佳織は意を決した。
(足を引っ張ってはいけない!)
「あの、やっぱり私、真佐課長とは合わないと思うんです」
「だから石川には」
「違うんです! 私、本当は他に好きな人がいて……社内のひとなので、だ、誰とは言えませんが……そのひとにも誤解されたくないっていうか……」
とっさについた嘘だった。そうでもしないと埒が空かない、そう判断した。
「萌絵……石川さんがリッツカールトンで待ってるそうです。彼女の気持ちに応えてあげてもらえませんか?」
佳織はうつむいた。課長の真摯なまなざしに心が折れそうになったから。
「佳織、本当にそう思っているのか?」
「……はい」
「それが君の本心か?」
「はい」
ふう、という深いため息が聞こえて、佳織は顔を上げた。
寂しそうな真佐課長の表情に胸がいたむ。
「そうだったのか。すまなかった。俺のことを見ていたと思ってたんだが、とんだ勘違いだったか」
(好き……このひとのことが好き。でもあきらめないと、萌絵が密告するって)
佳織は意を決した。
(足を引っ張ってはいけない!)
「あの、やっぱり私、真佐課長とは合わないと思うんです」
「だから石川には」
「違うんです! 私、本当は他に好きな人がいて……社内のひとなので、だ、誰とは言えませんが……そのひとにも誤解されたくないっていうか……」
とっさについた嘘だった。そうでもしないと埒が空かない、そう判断した。
「萌絵……石川さんがリッツカールトンで待ってるそうです。彼女の気持ちに応えてあげてもらえませんか?」
佳織はうつむいた。課長の真摯なまなざしに心が折れそうになったから。
「佳織、本当にそう思っているのか?」
「……はい」
「それが君の本心か?」
「はい」
ふう、という深いため息が聞こえて、佳織は顔を上げた。
寂しそうな真佐課長の表情に胸がいたむ。
「そうだったのか。すまなかった。俺のことを見ていたと思ってたんだが、とんだ勘違いだったか」