【短編】ホワイトデーには花束を、オレンジデーには甘いキスを(三人称)

*―*―*


走る……走る。

その日の夜、佳織はジムで走っていた。課長と訪れたジムだ。

暗い窓ガラスに走る自分の姿に真佐課長の姿が重なる。


(今頃、課長は……)

おそらく萌絵と会っている。リッツカールトンで食事しているに違いない。もしかしたらその後はバーで飲んで、そして……。

(考えたくない!)

佳織はボタンを押してマシンのスピードを上げた。

心臓が痛いほどに鼓動する。息が切れる。汗が大量に吹き出した。

(イヤ……課長が他の女の子と……イヤ!)

佳織はかけ続けた。ひたすらに、ただひたすらに。

「課長……っ……」

背後でジムスタッフの声が聞こえた。バタバタと駆け寄る音。その直後、佳織は意識を失って倒れた。




*―*―*


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