幼なじみの優しい彼 2
彼は照れ臭そうに顔をこするようにして涙を手で拭った。

「その気持ちだけで充分嬉しいよ、それに俺がここ数日間、思ってたことが全部妄想だってわかったのも嬉しいし」

「じゃ、じゃあ、信じてくれる?」

「うん、もちろん。ヒカリの言うことなら、どんなことだって信じるよ」

え?それって、その言い方って、半分まだ信用していないんじゃ・・・。

「あ、あのう、太一君と喧嘩したりとかしないよね?」

床に転がった竹刀を横目で見ながら、一応確認してみた。

「喧嘩なんてするわけない。だけど、きっちり男同士の話はさせてもらう」

それはいったいどういうことって、聞こうとしたけれど、また彼に抱き寄せられたかと思うと、今度は唇を塞がれる。

少しだけ深い大人のキスだったので、頭の芯がぼうっとなった。

それから、おでこと頬に愛おしそうにキスを落とされる。

お互いに泣いた後の顔を見て、ちょっと笑った。
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