幼なじみの優しい彼 2
「イテテ」
彼は肩を抑えて一瞬辛そうに眉根を寄せる。
「どうしたの?」
「ああ、さっき階段から転げ落ちてあちこちぶつけたから」
海の話によると、2階の部屋から見た私と太一君がキスしていると勘違いした海は、慌てふためいて階段を踏み外してしまったらしい。
普段冷静な彼にしては珍しい失敗だ。
「ここが痛いの?」海の肩に手を伸ばしてゆっくり撫でてあげた。
「うん、背中も痛い」甘えるように彼が言うので背中にも手を伸ばし優しくさする。
彼は眩しそうに私を見て笑った。
「もう充分こんなに、いい彼女なのに、それ以上ヒカリはどうなりたいの?」
「え、だって」
「ヒカリはいつも俺のことを優しいって言ってくれるけど、ヒカリのほうがずっと優しいよ」
「そ、そうかな」