初恋をもう一度。【完】

◆◆◆◆◆

初めて連絡をもらったあの日以来、メッセージのやり取りは少しずつ頻度が増えていった。

そして2週間も経つ頃には、毎日するのがすっかり当たり前になった。

最初は勿論、互いの近況報告をし合ったけれど、今は他愛ない話ばかりしている。

今お昼ごはんとか、これからバイトとか、大学や友達の話とか。

話すのは現在のことばかりで、あの当時の、中学2年の頃の思い出を、2人で話して懐かしんだりはしない。

わたし達はあの時確かに同じクラスだったけれど、教室ではほとんど話さなかったから、実は共有した思い出はとても少ない。

かと言って、あの音楽室のピアノの前で一緒に過ごした時間について話すのは、なんとなく恥ずかしかったのだ。

きっと鈴木くんもそうなんだと思う。
< 22 / 210 >

この作品をシェア

pagetop