初恋をもう一度。【完】
『奈々ちゃんおはよ』

いつも朝の9時前くらいに、鈴木くんからメッセージが届く。

たまにわたしから送ることもあるけれど、だいたい鈴木くんが先に送ってくれる。

「おはよー」

『今日は学校?』

「うん。3限からだけど。鈴木くんは?」

『俺、実はもう授業中。ちょー眠い』

鈴木くんも、わたしと同じく大学生だ。

「わたし授業中いっつも寝ちゃう」

『俺も気を抜くとだいたい落ちてるよ笑』

今日もいつも通り、他愛ないやり取りをする。

なんでもない会話、でも楽しくて仕方ない。

「あ、わたしそろそろシャワー浴びるね」

『了解。またあとでね』

「うん、寝落ちしないように頑張ってね」

今のわたし達のやり取りは、まるで気のおけない友達のようで、ともすれば恋人のようでもある。

わたし達の距離は、6年前よりもずっと近い。

もしあの頃、今くらい近い距離でいられたら、あの言葉の続きを聞けたのだろうか。

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