初恋をもう一度。【完】

◆◆◆◆◆

ブーン、ブーン……

午後イチの講義を受けていたら、バッグの中でスマホの無機質なバイブ音がした。

すぐに取り出して、机の下でこっそり覗く。

『奈々ちゃん、おはよ』

鈴木くんからだ。

おはようって、もうお昼過ぎてるのに。

今朝は珍しく、鈴木くんから『おはよう』が来ていなかったのだ。

実はちょっと寂しかったから、メッセージを見た瞬間、頬が緩んでしまった。

「おはよ、学校お休みなの?」

手早くそう返信すると、すぐに返事が来た。

『ううん、風邪引いて休み~』

「風邪引いちゃったの? 大丈夫?」

『ううん、ダメ』

「ダメ!? 熱あるの?」

『38度2分』

「えーっ! わたしと話してる場合じゃないよ。ゆっくり休まないと」

『えー俺、奈々ちゃんと話したい』

そんなことを言われたら、もう講義どころじゃない。

「うーん、だって、大丈夫なの?」

『奈々ちゃん』

「なあに? 鈴木くん」

『看病しにきてよ』

びっくりし過ぎて、スマホを落としそうになった。
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