初恋をもう一度。【完】
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ブーン、ブーン……
午後イチの講義を受けていたら、バッグの中でスマホの無機質なバイブ音がした。
すぐに取り出して、机の下でこっそり覗く。
『奈々ちゃん、おはよ』
鈴木くんからだ。
おはようって、もうお昼過ぎてるのに。
今朝は珍しく、鈴木くんから『おはよう』が来ていなかったのだ。
実はちょっと寂しかったから、メッセージを見た瞬間、頬が緩んでしまった。
「おはよ、学校お休みなの?」
手早くそう返信すると、すぐに返事が来た。
『ううん、風邪引いて休み~』
「風邪引いちゃったの? 大丈夫?」
『ううん、ダメ』
「ダメ!? 熱あるの?」
『38度2分』
「えーっ! わたしと話してる場合じゃないよ。ゆっくり休まないと」
『えー俺、奈々ちゃんと話したい』
そんなことを言われたら、もう講義どころじゃない。
「うーん、だって、大丈夫なの?」
『奈々ちゃん』
「なあに? 鈴木くん」
『看病しにきてよ』
びっくりし過ぎて、スマホを落としそうになった。