僧侶とホストと若頭、3つの顔に揺れる恋
翌朝、朝の勤めを終え、住職の使いで檀家宅へ出かけることになった。

出かける用意を済ませて、神社の鳥居を潜ると護衛の組員が2人、待ち構えていた。

「法事の日取りを聞いてくるだけなのに」

「総長のお達しですから」

「なぁ、親父の護衛は誰が着いてんだ?」

「お嬢、そいつは教えられません」

「……沖永理事、梁瀬隊長、小城隊長、剣先専務あたりか?」

あたしが護衛、金守の顔を覗きこむと金守の眉がピクリと動いた。

「当たりか、他は……」

「お嬢、そこまでです」

「昨日、悠斗が神社にスーツを取りに来た。もしかして悠斗も護衛に加わって」

「お嬢ーー口を」

あたしは悠斗は親父の護衛に加わっていると、確信した。

盃を請けてまだ数日なのに、親父が悠斗を護衛に加えた意図を察した。

親父は悠斗の力を量ろうとしているのだと、そして組員に悠斗の力を知らしめようとしているのだと。
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