モノクロに咲く花~MadColors~
「壱川君はすごいよね、何でも出来て、壱川君みたいになりたかった」

「すごくなんかないよ」

「壱川君みたいになんて贅沢言わない、せめて、普通に笑って、遊んで、楽しんで、そんな人生でいたかった。
でも無理で、今は何にもない」

一花の目には涙が滲み、声が震えた。

「……ごめん。話すのも辛いようなことを言わせて。俺が聞いて逆に辛い気持ちにさせちゃった。力になれるかなと思ったけど、却って迷惑だったね」

宙はそっと一花の側に寄って、優しい声で声を掛けた。

「……なりたい自分になかなかなれないって、辛いことだよね。」

思っていた返答と違うことを言った宙に一花は目を丸くする。

(壱川君って、無責任に人を励ましたりしない人なんだ……)

「壱川君って、もっと堂々としてればいいのに、とか、もっと明るくなれば良いじゃん、とか言わないんだね……」

「だってそれでそんな簡単に変われたら苦労なんてしない……だろ?」

一花は感じた事のない衝撃が自分に走るのを感じた。

宙の言葉は、ずっと自分が思っていたことだったからだ。

「……うん」

「人間、どんな形にでも変わるってことはすごく難しい」

「……壱川君……ありがとう……」

(分かってもらっただけで、救われた気がする……)

「そうだ。」

いいことを思いついた、という顔で宙は一花を見た。

「俺と友達にならない?」

「え?」

戸惑う一花をよそに、宙は話を続ける。
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