魔法の鍵と隻眼の姫
王が後ろへ目をやり頷くとトニアスが出てきてその後ろから王妃と、王女が出てきた。
トニアスに隠れてラミンからは全貌が見えない王女。
「よう、トニアスか!お前もおっきくなったな~?」
「…」
ラミンは懐かしそうに言うが、トニアスはその頃まだ2,3歳でほとんどラミンの事を覚えていない。
警戒心露わにラミンの前に立ちはだかる。
「なんだ、覚えてないのか?俺の後ろをちょこまかついて歩いてたくせに」
「う、煩い!そんなの覚えていない!」
「トニアス!」
目くじらを立てるトニアスを王は諌める。
黙ったトニアスを見てから王女を呼んだ。
「ミレイア、こちらへ」
手を差し伸べる王の手を取り、前へ歩み出る王女にラミンは言葉を失った。
薄いピンクのドレス、艶やかな長い黒髪、細い腕、白い肌、真っ赤なさくらんぼを思わせるような唇、アメジストのような輝く紫の左目、そして、長い前髪に見え隠れする右目の黒い眼帯。
眼帯には金の刺繍が施してあり青い宝石が縫いこまれていた。
美しい顔に似つかわしくない眼帯に目を奪われ、ラミンは思わず前に踏み出し手を伸ばす。
ドクンと胸が鳴る。
なぜだかわからない、でもその眼帯の奥にあるだろう瞳を見たくなった。
バシンっ
操られるように近づくラミンの手をトニアスが払った。
「ミレイアにこれ以上近づくな!」
「・・・」
我に返ったラミンは払われた手を押えトニアスを睨む。
トニアスも負けじと睨むのをセイラスが止めた。
「トニアス、どうした?」
いつもは温厚なトニアスがいきり立っている。
ハラハラとした面持ちで王妃とドリスター公爵が見つめる。
「うむ、やはり、二人は引き合う運命。阻止しようとしても運命には逆らえんな?ドリスター殿?」
モリスデンが意味ありげにドリスターに流し目を送る。
「い、いえ、私はその…」
焦り、汗を拭くドリスター公爵。
先ほど、王たちを呼びに行く前、ラミンを前にしたドリスター公爵の言葉。
「ラミン!なぜ帰ってきた!お前は二度とこの国に戻ってはならぬと言ったはずだ!せっかく逃がしてやったのに…!」
最後の言葉は父としての想いからか?、王女とラミンを会わせたくなかったのは魔女だけではなかったらしい。
ふむ、それは追々問い詰めるとしよう…。
顎髭を触り思案するモリスデン。
「モリスデン、二人を引き合わせた。さあ、その後はどうするのだ」
不安そうに自分を見るミレイアの手を握り重々しく王は問う。
ゴッホンと喉を鳴らしたモリスデンは手を広げる。
「では、二人の試練を言い渡そう。ミレイア、そなたは明日よりここを立ち、わしの住む迷いの森まで鍵を求め旅をするのだ。そしてラミン、そなたは姫の護衛として決して離れず姫を守り切れ。二人で我が迷いの森にて真実の扉を開き困難に立ち向かえ!」
トニアスに隠れてラミンからは全貌が見えない王女。
「よう、トニアスか!お前もおっきくなったな~?」
「…」
ラミンは懐かしそうに言うが、トニアスはその頃まだ2,3歳でほとんどラミンの事を覚えていない。
警戒心露わにラミンの前に立ちはだかる。
「なんだ、覚えてないのか?俺の後ろをちょこまかついて歩いてたくせに」
「う、煩い!そんなの覚えていない!」
「トニアス!」
目くじらを立てるトニアスを王は諌める。
黙ったトニアスを見てから王女を呼んだ。
「ミレイア、こちらへ」
手を差し伸べる王の手を取り、前へ歩み出る王女にラミンは言葉を失った。
薄いピンクのドレス、艶やかな長い黒髪、細い腕、白い肌、真っ赤なさくらんぼを思わせるような唇、アメジストのような輝く紫の左目、そして、長い前髪に見え隠れする右目の黒い眼帯。
眼帯には金の刺繍が施してあり青い宝石が縫いこまれていた。
美しい顔に似つかわしくない眼帯に目を奪われ、ラミンは思わず前に踏み出し手を伸ばす。
ドクンと胸が鳴る。
なぜだかわからない、でもその眼帯の奥にあるだろう瞳を見たくなった。
バシンっ
操られるように近づくラミンの手をトニアスが払った。
「ミレイアにこれ以上近づくな!」
「・・・」
我に返ったラミンは払われた手を押えトニアスを睨む。
トニアスも負けじと睨むのをセイラスが止めた。
「トニアス、どうした?」
いつもは温厚なトニアスがいきり立っている。
ハラハラとした面持ちで王妃とドリスター公爵が見つめる。
「うむ、やはり、二人は引き合う運命。阻止しようとしても運命には逆らえんな?ドリスター殿?」
モリスデンが意味ありげにドリスターに流し目を送る。
「い、いえ、私はその…」
焦り、汗を拭くドリスター公爵。
先ほど、王たちを呼びに行く前、ラミンを前にしたドリスター公爵の言葉。
「ラミン!なぜ帰ってきた!お前は二度とこの国に戻ってはならぬと言ったはずだ!せっかく逃がしてやったのに…!」
最後の言葉は父としての想いからか?、王女とラミンを会わせたくなかったのは魔女だけではなかったらしい。
ふむ、それは追々問い詰めるとしよう…。
顎髭を触り思案するモリスデン。
「モリスデン、二人を引き合わせた。さあ、その後はどうするのだ」
不安そうに自分を見るミレイアの手を握り重々しく王は問う。
ゴッホンと喉を鳴らしたモリスデンは手を広げる。
「では、二人の試練を言い渡そう。ミレイア、そなたは明日よりここを立ち、わしの住む迷いの森まで鍵を求め旅をするのだ。そしてラミン、そなたは姫の護衛として決して離れず姫を守り切れ。二人で我が迷いの森にて真実の扉を開き困難に立ち向かえ!」