魔法の鍵と隻眼の姫
にっといつもの自信満々の笑みを浮かべラミンは言ってのけた。

満面の笑みで頷いたミレイアは嬉しくなってラミンに抱きつき、一瞬たじろいたラミンは再びミレイアの背に腕を回す。
今はこの温もりが愛おしい。

心の片隅に隠しようのない想いが育ってることを二人はとうとう自覚した。
でも今は何も言わないでおこう。
明日全てが終わったら、自分の気持ちを正直に打ち明けてみようか…。

明日、無事に生きて帰ることが出来たなら…。




どれくらい抱き締めあっていたのか、くいくいと髪を引っ張られる感じがして顔を上げたラミンはノニがプンプンしながら自分の髪を引っ張っているのを見つけた。

「何だノニ、どうした?」

頬をぷくっと膨らませたノニが何かを訴えてるようだがラミンは分からない。
首を傾げていると顔を上げたミレイアがじっとノニを見つめた。

「さっきラミンに払われたことを怒っているわ」

「あ?そうなのか?悪いなノニ、さっきは無意識だ」

苦笑いで謝るとラミンの肩に立ち腰に手を当てまだ怒ってるようだ。

「それとノニは信じてくれないのか?だって」

「なんだ、お前も信じてるぞノニ。一緒に旅をして何かと助けてくれたお前を信じてるに決まってる」

「私ももちろん信じてるわよノニ」

にっと笑って言うとノニは満足したのか笑顔になりうんうん頷いて二人の周りを飛び回った。

「そういやお前、ノニの言ってることわかるのか?」

「そう言えば…なんとなくわかったわ」

自分でもなんでわかったのか分からないミレイアはノニを見つめながら首を傾げた。
一緒に旅をして心が通じ合ってきたということだろうか。
ノニともっと仲良くなれそうな気がしてミレイアは嬉しくなった。

くしゅんっ!

不意にくしゃみをして、だいぶバルコニーで長居してしまったことに気付く。

「やべ、こんなとこで風邪引いてたら元も子もないな」

急いで立ち上がったラミンは部屋へとミレイアを促す。

「ラミン、今日も…」

ラミンを窺うように言葉を止めたミレイアの頭にぽんと手を置いたラミンは苦笑いで頷いた。

「分かったよ、この際一緒に寝よう。今更だが王女様と添い寝なんて、お前の国王や兄たちが卒倒しそうだな」

特にトニアスが知ったら殺されそうだとくすくす笑うラミンに何を思ってるのか分からないミレイアも嬉しそうに笑みをこぼす。

ベッドに横たわるとラミンはミレイアを寝かせノニはその間を陣取って眠った。
二人で目を合わせ笑うとノニを潰さないように寄り添い手を繋ぎ目を瞑る。
手の温もりが穏やかな夢へと誘う。

眠りについた二人をドアを開けこっそりと見つめていた人物がいた。
静かにドアを閉めるとやれやれというようにため息を付き帰って行く。

その頃シエラ王国もノアローズ王国でも迷いの森で待つモリスデンも祈りを捧げていた。
急速に広がっていく雲。
明日が決戦の日、二人の絆に掛けたい。

それぞれの想いが詰まった最後の夜だった。
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