魔法の鍵と隻眼の姫
「魔物はいないから行くなら今なのさ!」

かわいい声が聞こえて一同唖然とする。

「ノ…ノニ、しゃべれるの?」

「しゃべれるのさ!ミレイアちゃん!」

嬉しそうに目の前でくるくる回るノニに目を丸くしたミレイアは嬉しくなった。

「わあ!しゃべれるなんて!知らなかったわ!」

「なんで今まで黙ってたんだ?」

きゃっきゃと喜ぶミレイアを横目にラミンが聞く。

「あたしは迷いの森の妖精だから迷いの森から出ると力が弱まるのさ。だからしゃべれなかったのさ。ずっとミレイアちゃんとお話したかったのさ!」

「私もお話したかったー!」

喜び勇んでノニの小さな手を握り跳び跳ねてるミレイアの頭をラミンが抑えた。

「ストーーーップ!今は迷いの森を抜けてジジイのとこに行かないといけないだろ?おしゃべりは後だ」

嗜められはしゃいでる場合じゃないと気付いたミレイアはしゅんとする。

「ごめんなさい…」

「まあ、良いではないかラミン殿。ミレイア王女、全てが終わったらゆっくり話すといい」

「…はい」

国王の言葉にハニカミ頷くミレイア。
「ラミンの怒りんぼ!」「うっせえ」とノニとラミンが言い合っている。
そんな二人を見ながらミレイアは必ず生きて帰ってノニと女子トークで盛り上がる!と楽しみが増えたことに嬉しく思った。

「賢者様の所に案内するのさ!途中で変な声聞こえても振り向いちゃダメなのさ!悪戯好きの仲間が惑わすからさ。ノニに付いてきて!」

こっちこっちと向かう道を指し示すノニを見て4人は目を合わせ頷き合った。
再びミレイアの手を取ったラミンは先頭切ってノニに着いていく。

全く見えない霧の中をスイスイ飛んでいくノニを追って離されないように付いていった。

手を繋いだ先にはラミンが、後ろには国王とキースがいてミレイアは自分は一人じゃないと頼もしく思う。
途中、しくしくと何か泣き声が聞こえて立ち止まったミレイアに気付いたラミンが振り返そうになった。

「振り向いちゃダメ!」

ノニの叫びに思い止まったラミンは後ろが気になって仕方がない。

「どうした?ミレイア王女」

「あ、ごめんなさい。誰か泣いてる気がして…」

後ろにいた国王に話し掛けられ不安そうに答えたミレイア。

「ダメダメ!あれは仲間が惑わす為にやってる嘘真似さ!騙されちゃダメさ!」

「わかったわ」

頷くミレイアに安心して先を急ぐノニ。
今度は笑い声が聞こえてまた立ち止まってしまった。
楽しそうな声についつい振り向いてしまいそうになる。

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