魔法の鍵と隻眼の姫
こくりと頷くラミン。

「俺達はハウライトが降伏した瞬間をこの目で見たんだ。まるで地獄絵図のような光景を小娘も見ている。あいつはこの町の平和を誰よりも願っていた」

「ラミンはミレイアの為にあの町を守ると…?」

真剣な顔でまたこくりと頷いたラミンに根負けしたトニアスはハアっとため息を吐き目を伏せる。

「わかったよ、ミレイアが願うことなら…」

「助かる、頼むぞ!」

「あっ!ラミン!」

早速魔物を追いかけんと結界を飛び出そうとするラミンを呼び止めたトニアスは、命を賭けても魔物を退治せんとするようなラミンに言い知れぬ不安が過る。

「ラミン…まさか、死ぬつもり…じゃないよな?」

一瞬、目を見開いたラミンはニヤリといつも不敵な笑いをトニアスに見せた。

「ばーか、死ぬわけないだろ。あいつに助けられた命だ、そう易々と魔物なんかにやらねえ」

「…そうか、安心した」

ホッとするトニアス。

ミレイアのためにもこの命、捨てるわけにはいかない。
決心新たにラミンは前を見据える。

「そんな心配いらねえ!ノニ、トニアスに付いていけ!頼んだぞ!」

言い終えた頃にはラミンは結界を飛び出し魔物を追いかけて行った。
ラミンに言われ残ったノニがトニアスの頭の上に留まったのを確認して走り出した。

「よし!ノニ、僕たちも行こう!」


< 194 / 218 >

この作品をシェア

pagetop