魔法の鍵と隻眼の姫
ほんわかした雰囲気の中、大きな水晶が門のように切り立っていた間を抜けると、その先に少し開けた空間が出現した。

「すごい、水晶の洞窟…」

上も横も水晶に埋め尽くされたその場所はより明るく怪しげに光っていて、その中央に簡素な社がその場に似合わず建っていた。
ミレイアくらいの高さで朽ちかけた屋根、小さな両開きの扉、その前にはお供え用なのか欠けたお皿が置いてあった。

「この中に入っているのは…」

「鍵、であればいいけどな」

固唾を飲んで小さな扉を開けようと手を掛けた。

「ん?開かない」

「古すぎて軋んでるのかしら?」

暫くガタガタとゆすってみたりしたがビクともしない扉。

「いや、これは鍵がかかってるみたいだ」

「ここを開ける鍵をまず探さなくてはいけないってこと?」

ミレイアは首を傾げてラミンを見ると、顎に手をやるラミンはしばらく考えてにやりと笑った。

「そんなまどろっこしいことできるか。こんな古ぼけた社壊してしまった方が早い」

そう言うとラミンは腰に下げた剣を抜いた。

「なっ何言ってるの!?いくら古いって言ったって中に神様とか居るかもしれないのに!罰が当たるわ!」

ミレイアは慌てて剣を持つ手を両手で押さえ訴えた。

「鍵を探しに来たのに他の鍵も探さなきゃなんてめんどくさい!」

「何かあったらどうするの!?」

やいやい揉み合い言い合っているとぼおっと何かが光り二人は目を奪われた。
社の欠けたお皿が淡く光っている。
揉み合ったまま止まっていた二人は一度目を合わせると恐る恐るお皿に近づきラミンが持ち上げた。

「何の変哲もない皿だ。さっきまで光ってなんかなかったよな?」

ラミンがミレイアに同意を求めるとお皿を見つめたままこくんと頷いた。
そっと元の場所に戻すと一層光るお皿に一瞬後ずさった二人。

「もしかして、何かお供えしろってことかしら?」

「あ?お供えって…何を?なんも持ってねえ」

剣を収めたラミンがお手上げというように両手を上げる。
あっと言ったミレイアが自分のカバンをごそごそと探り出した。
取り出したのはターコイズ村で貰ったハンカチ。
それを掌で広げるとモッコウの実が姿を現す。

「まさか、それ?」

「物は試しよ。置いてみましょ」

片眉を上げどうせ無理だろと言う態度のラミンを無視してミレイアは社の前に立つとそっとモッコウの実を光るお皿の上に置いた。
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