白雨の騎士
部屋を出て、シドは腰の剣をぎゅっと握りしめた。


そしてすぐにルイの元へ向かった。


「…さっき言っていた何も知らないとはどう言う意味だ?」


シドの言葉にルイはふっと微笑んだ。


「…アリス様の婿探しだ。」


思いがけない答えに、シドはぽかんとした。


婿、探し…?


「…呆気にとられた顔してるな。近衛募集なんて表向き。いつまでたっても結婚を決めない我が国未来の女王の側に容姿の美しい男たちを置き結婚を決意させる為と、国王が命じたことだ」


シドは呆れた口が塞がらなかった。


「…ちなみに君以外全員知っていると思うよ。だから今日集まった者達はほとんどが貴族か地主の息子。他国の王族なんてのも紛れ込んでいるかもしれないな」



「じ、じゃあ君も…」


すると、ルイの名前が呼ばれた。

洋服の襟を正しゆっくりと立ち上がった。


「ああ。俺は落ちぶれた下級貴族。もう一度家の名誉と地位を取り戻すため親父に申し込まれたってわけだ。」


そう言うとルイは名前を呼ばれ部屋の中へと消えていった。
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