白雨の騎士
「…やっと着いたな。」
馬車の小窓から外を見て少し疲れた様子のルカが言った。
「ここまで送ってもらってありがとうございました。」
「いや、こちらこそ一族の騒動に巻き込んですまなかった。キトの裁判が開かれるまで俺は旅に出る。」
ルカの言葉にシドは少し驚いた。
「…何かあったんですか?」
「少し調べ事があってな。元気にやれよ。また会いに来る」
馬車は王宮の前までやってきた。
シドだけ降りると、馬車の窓からルカがニッと笑った。
ルカさん、キトの件で大変なこの時期にどうして旅に出るんだろう。
シドは少し疑問に思った。
***
その頃王宮内ではー
「…アリス様、少しいいですか」
音楽会の最中、ソフィアがアリスを呼びに来た。
「…どうしたの。」
「…今、お部屋の方に…」
何やら少し慌てた様子のソフィア。
アリスは自分の部屋に戻った。