白雨の騎士
「…っ、」
夫人達はシドに驚くと慌ててその場を後にした。
リアはその場に座り込んだ。
「大丈夫ですか。」
シドも膝をついてリアの顔を見た。
大きな瞳からポロポロと涙が溢れた。
「…私がアラン様の婚約者だなんて、本当におかしいですよね…あの方達の言う通りです…」
シドはポケットからハンカチを取り出し、リアに渡そうとした時後ろから誰かがシドの肩に手を置いた。
振り返ると、アランがいた。
「…ありがとう。君は戻っていい。」
「はい。」
シドは一礼するとバルコニーを後にした。
アランはリアの頬に手を当てるとそっと涙を拭った。
そして、そっと自分の胸の中にリアを抱き寄せた。
「…これからは僕が守ります。だからどんな時も僕を頼りなさい」
リアは驚いたが、こくんと頷いた。