白雨の騎士
バルコニーから出てきたアランとリアに、外で待っていたシドはローブを差し出した。
リアの薄桃色のドレスはワインで赤く染まってしまっていた。
アランがローブを受け取るとそっとリアにかけた。
「ありがとう」
そう言ってアランとリアは舞踏会の会場を後にした。
「…シド」
名前を呼ばれて振り返るとアンナが立っていた。
「リア様、夫人達に何かされたのか」
シドは何も答えず去っていくアランとリアの後ろ姿を眺めた。
「シド、よく気が付いてくれた。貴族間の揉め事に我々は介入はしずらいが、リア様はとても不安だっただろう…」
「これからはアラン様が守って下さると思います。」
シドの言葉にアンナはふっと笑みを溢した。
「アラン様も随分逞しくなられたな」