白雨の騎士
翌日、シドは花束を持ってローズの部屋に向かっていた。
丁寧な招待状を貰ったので少しだけローズの誕生日会に顔を出す事にした。
ローズ様の事だ。たくさん人を集めているだろう。
花束を渡してすぐに退室する予定だ。
ローズの部屋の前に着くと既に部屋の中からは、賑やかな声が聞こえていた。
ガチャ…
ドアを開けて中に入ると、シドの登場に談笑していた人達が一斉に視線を向けた。
シドはゴクリと喉を鳴らし、部屋の中に入った。
「シド様!」
人をかき分けて嬉しそうな表情のローズがやって来た。
「…お誕生日おめでとうございます。」
そう言って持ってきた花束を渡した。
「まぁ綺麗。ありがとうシド」
ローズはさっそくシドの手を取ると、中へと案内した。
「来て、みんなシドが来る事を楽しみにしていたのよ。」
「いえ…僕はすぐに失礼させて頂きます。剣の稽古もありますし…」
「ダメよ!せっかく来て下さったのに。もうちょっと居て?」
シドの手を握ったまま上目遣いで言うローズを見た時、ふと幼い頃のハンスを思い出した。
何かお願い事があるとこんな表情で頼んできたものだ。
「では…少しだけ。」
妹みたいなローズの頼み事をシドはまんまと承諾してしまった。