白雨の騎士
たった数分の手合わせで、シドは息を切らし地面に膝をついた。


すると、リダはふっと笑みをこぼした。

「…やはり、顔だけで選ばれた奴は大したことないな。」

そう言って去っていくリダに、シドは愕然とした。


顔だけで選ばれた奴ー


その言葉が何度も頭の中で繰り返された。


稽古を終え、自分の部屋に戻った。

今回入団した5名の部屋は西の塔に用意されていた。

二人一組で二段のベッドと机だけがある小さな部屋で、シドのルームメイトはルイだった。

椅子に腰掛け、手のひらに出来た豆に包帯を巻いていると、ルイが戻って来た。

「あーあ、全く酷い言われようだぜ」

ヘラヘラとしたルイはドカッとベッドに横たわって言った。

「…何かあったのか?」


「いや、冷遇されることくらい想定内だったがな。」

ルイも同じ様な扱いだった様だ。恐らく後の3人も。。


「…それより今夜は舞踏会だ。 シドは姫様の護衛だったな?」


「ああ、姫の側を離れるなとの命令だ」

シドは包帯を巻き終えると、腰に剣を刺した。


「…羨ましいぜ。王弟殿下にお支えして、どうやって姫の気を引けばいいんだ」


ルイの言葉にシドは深く溜息をついた。
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