白雨の騎士
「シド、今いいか。来週からのアリス様アナモネア国訪問で確認したいことがある。」
夕食会が終わりシドも自室に戻ろうとしていたところアートに呼び止められた。
「疲れた顔をしているな。大丈夫か?」
「すみません、大丈夫です。」
ミラ様の来国は問題なく終わったが来週にはすぐにアナモネア訪問だ。
流石のシドも少し疲れが溜まってきた。
「この旅は気が抜けないな。キトの行方も心配だ。シド、お前はとにかくアリス様をしっかりお守りするんだ。」
「はい!」
来週の訪問について事細かに書かれた書類の束を貰いシドも部屋に戻った。
この資料を来週までに読み頭に入れなければならない。
「よお、シド。」
ルイが仕事を終えて帰って来た。
久しぶりに顔を合わせる。
「お前も来週からアナモネア国だよな。王の弟のアルベルト様も行く予定だから俺も同行だ。」
ルイもシドと同じ資料を手にしている。
「こんな束、読む気がしないな。」
ルイはポイっと資料を机に放り投げた。
相変わらずだが、シドもこの量は読むのに時間がかかりそうだった。