白雨の騎士
ミラは明日の朝帰国するので、今夜の夕食会が最後になる。
「今回はとても有意義な時間を過ごさせて頂きました。国に戻ったらあの議案を国王と大臣達に報告し、正式に進めさせて頂きたいと思います。」
カルドスとの貿易の話も良い方向へ向かいそうだ。
「…そうだ、昨日はこの国の近衛隊員に剣の手合わせをしてもらいました。とても優秀な近衛でアリス殿も心強いでしょう。」
ミラの言葉にアリスはちらっとアンナとシドを見た。
「それは良かったです。ミラ様とお手合わせして頂き我が国の近衛も光栄です。」
最後の夕食会も問題なく終わり、大きな仕事が終わりを迎えた。
ミラが退室すると、アリスはふぅと深呼吸し、やっとほっと胸を撫で下ろした。
「アリス様、お疲れ様でした。」
ソフィアが紅茶を淹れてくれた。
アリスは一口だけ飲むとスッと立ち上がった。
「部屋に戻ってもう休むわ」
このまま座っていたら眠ってしまいそうだった。
それくらい身体は重く疲れが溜まっていた。