偽物の恋をきみにあげる【完】
私の頭の中では、もうすっかりコタローくん=喜多野課長になってしまっているようだ。
だからコタローくんと話す時は、喜多野課長と恋をしている私なのだ。
あんなに素敵な人と、脳内恋愛。
いくら共通点が多いからと言って、そんなに簡単に思い込めるとは、随分と便利な脳だ。
ところが、さらに理解を超える現象が、私の身に起こっているから困る。
「及川さん、おはようございます」
朝、エレベーターを待っていたら、背後から穏やかな声が私を呼んだ。
「あ、喜多野課長、おはようございます!」
私が挨拶を返すと、課長は柔らかな笑みをこちらに向けた。
今日も相変わらず、つい見とれるほどのイケメンぷりだ。
それなのに……どうしてだろう。
喜多野課長を見ても、私の心臓はぴくりとも反応しないのだ。
私の中では、コタローくん=課長の筈なのに。
課長の声で再生される「好きだよ」に、あんなにも胸がときめくのに。
課長はこんなにも素敵なのに。
……その答えは、なんとなくわかっている。
私の脳は、コタローくんは喜多野課長だ、と言っているのに、私の心は、コタローくんは喜多野課長ではない、と言っているからだ
不可解で厄介な現象だ。
もしも本当に喜多野課長がコタローくんだったら、私はきちんと受け入れられるのだろうか。
だからコタローくんと話す時は、喜多野課長と恋をしている私なのだ。
あんなに素敵な人と、脳内恋愛。
いくら共通点が多いからと言って、そんなに簡単に思い込めるとは、随分と便利な脳だ。
ところが、さらに理解を超える現象が、私の身に起こっているから困る。
「及川さん、おはようございます」
朝、エレベーターを待っていたら、背後から穏やかな声が私を呼んだ。
「あ、喜多野課長、おはようございます!」
私が挨拶を返すと、課長は柔らかな笑みをこちらに向けた。
今日も相変わらず、つい見とれるほどのイケメンぷりだ。
それなのに……どうしてだろう。
喜多野課長を見ても、私の心臓はぴくりとも反応しないのだ。
私の中では、コタローくん=課長の筈なのに。
課長の声で再生される「好きだよ」に、あんなにも胸がときめくのに。
課長はこんなにも素敵なのに。
……その答えは、なんとなくわかっている。
私の脳は、コタローくんは喜多野課長だ、と言っているのに、私の心は、コタローくんは喜多野課長ではない、と言っているからだ
不可解で厄介な現象だ。
もしも本当に喜多野課長がコタローくんだったら、私はきちんと受け入れられるのだろうか。