偽物の恋をきみにあげる【完】
夕飯は大雅の強い要望でカレーライスになった。

何が食べたいか尋ねると、いつも「何でもいい」か「カレー」の二択。

とんだカレー大好きっ子だ。

私が料理をしていると、珍しく大雅が様子を覗きに来た。

「ね、コーヒーって何に使うの?」

「カレーに入れるよ」

「ええっ! ね、この板チョコは?」

「カレーに入れるけど?」

「わー、俺何食わされんの!?」

「カレーじゃん?」

完成したカレーを、大雅は「チョ、チョコ味なの?」と恐る恐る口にしたくせに、結局ペロリと平らげて、「宇宙一うまい!」と大袈裟に褒めた。

そんなに喜んでくれるなら、作りがいがあっていい。

おかしかった顔色も、カレーの香辛料のせいか赤みがさしてきて、今は随分と元気そうだ。

体調が悪そうに見えたのは、ただの気のせいかもしれない。


食後、ベッドに転がってテレビを付けたら、何かのドラマが流れていた。

「これ、何のドラマ?」

「知らない、私あんまりテレビ観ないからなあ。……ふーん、タイトル『destiny』だって」

「運命? 俺、その言葉好きじゃない」

大雅は急に、真顔でそう言った。
< 105 / 216 >

この作品をシェア

pagetop