偽物の恋をきみにあげる【完】
大雅は続けた。

「旅路をゼロにされる感覚だよね。どう足掻いても終点決まってて、そこに向かうだけ。……まるで今こうしてることさえ、なんの意味もなくなる気がする」

やはりこんな話が『ジオラマオアシス』に出てきた気がする。

あれはなんだっけ……「どう生きたって死ぬ時は死ぬ。運命なんて変えられない」そんなことを病に伏す若者が主人公に向かって言っていた。

まあ、言っていることが似通っているのはたぶん偶然、ひとつの考え方というだけだろう。

……それにしても、なんだか意味深な話だ。

「大雅は、逆らいたい運命があるの?」

なんとなくそう感じて尋ねると、

「あはは。そんな壮大な人生送ってねーよ」

大雅はそれを軽く笑い飛ばした。

「つまり、銀河鉄道には乗りたくないなって話だよ」

「そんな話してたっけ」

「ま、いいじゃん」

もうすっかり、いつもの大雅だ。

うまくはぐらかされた気もする。

「まあでも大雅さ、銀河鉄道も意味なくはないんじゃない?」

「どゆこと?」

「だって、鉄郎は旅で成長して、ネジになる運命を超えたよ。それに、メーテルは鉄郎を忘れないし、鉄郎はメーテルを忘れない。それは一緒に旅したからだよ。意味なくないよ」

私の言葉に大雅はぽかんとした顔をして、それからくくっと笑った。

「それスリーナインな。ちげーし」

「あれ? ……あ、もしかして銀河鉄道の夜の方!」

「あはは……瑠奈、ありがと」

大雅が笑って、私の頭をぽんぽんと撫でた。

何が「ありがと」なのか、よくわからない。
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