偽物の恋をきみにあげる【完】
しかし、次の週になっても、大雅は全く会いに来てくれない。

「いつ暇になんの?」

水曜日の帰り道、たまりかねた私は大雅にメッセージを送った。

忙しい筈なのに、すぐに既読がつく。

『あれ? 俺に会いたくなっちゃったの? 笑』

ムカつく。

いつだって会いたくてたまらないのに。

「めちゃくちゃ会いたいよ」

送るつもりなんて全くなかった。

昔、出すつもりがないのに書いたラブレターみたいなものだ。

気持ちを文字に吐き出しただけ。

それなのに。

「あ、すいません…………あーっ!うそ!」

いわゆる歩きスマホをして前を見ていなかった私は、前方から来た人と肩が触れてしまった勢いで、うっかり送信してしまったのだ。

どうしよう、と悩む間もなく、一瞬で既読がついてしまった。

そしてすぐに、返信が届く。

『そういうのはルール違反』

ルール違反? なにそれ。

自分は散々、会いたいとか言うクセに。

俺は本気で言ってないからいいってこと?

恥ずかしくて悔しくて腹立たしい。

「ウソに決まってんでしょバーカ」そう送ろうとしたら、続けてメッセージが届いた。

『でも、俺もほんとは毎日会いたい』

これが本音なら、愛の告白と変わらない。

本気になるな、なんて絶対無理だ。
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