偽物の恋をきみにあげる【完】
私はきっと、とっくに大雅に本気だった。

好きで、好きで、会いたくて、会えなくて、寂しくて、満たされない。

バランスが崩れていく。

傍にいてくれる、抱いてくれる……私を物理的に満たしてくれるのが大雅だった。

その大雅が絶対にくれない「好き」という言葉で、心を満たしてくれるのがコタローくん。

大雅だけじゃ駄目、コタローくんだけじゃ駄目。

大雅と過ごす不完全な時間があるからこそ、コタローくんと「言葉だけの恋」をした。

コタローくんが傍にいないからこそ、私は大雅を強く求めた。

それはとても歪で、けれど絶妙なバランスで、私を満たしていたのだ。

なのに、大雅に会えない。

バランスが崩れる。

好きで、会いたくて、寂しくて。

どうして2人共、偽物の恋しかくれないの?


「会いたい」

だから私はまた、タブーを犯す。

「コタローくん、会いたいよ」

だって大雅が傍にいてくれないから。

『つーちゃん……それはルール違反です』

コタローくんからは、大雅と同じ言葉が返ってきた。

2人が頑なに「ルール」を守る理由は、偽物の恋しかくれない理由はなに?

『会えない代わりに、プレゼントをあげるから』

プレゼントって何? と尋ねたら、「明日になればわかりますよ」とコタローくんは言った。
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