偽物の恋をきみにあげる【完】
喜多野課長のチームの手伝いは、内容自体は簡単な事務作業が多かったものの、その山のような仕事量に驚いた。

元々の自分の業務も多少はあったので、結局定時では終わらずに、久しぶりに1時間半も残業した。

まあ、どうせ今日も大雅は来ないし、暇だから構わないけれど。

気になるのはコタローくんがくれると言っていたプレゼントくらいだ。

帰り道、チームの他のみなはバスらしく、駅へ向かうのは私と喜多野課長だけだったので、なんとなく一緒に歩き出した。

「及川さん、残業までしていただいて、本当にありがとうございました。時間、大丈夫ですか?」

「いえ、全然。予定なんてないので!」

大雅が会ってくれないからね、と心の中で毒づきながら無駄に明るく答えると、課長はくすくす笑った。

「ではこのあと、夕飯がてら1杯お誘いしてもいいですか?」

「へ?」

課長からの思わぬ言葉に、私は間抜けな声で反応してしまった。

「あ、無理にとは言いませんが。今日のお礼です、ご馳走しますよ」

昨日のコタローくんの言葉が頭をよぎる。

『プレゼントをあげるから』

『明日になったらわかりますよ』

……もし、喜多野課長がコタローくんだとしたら。

まさか、これがプレゼント?
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