偽物の恋をきみにあげる【完】
大雅はそんな私を、ぎゅうっと抱きしめた。

幸せで幸せで、どうにかなりそうだった。

「あはは、そんなに俺に会いたかった?」

「……会いたかったよ」

「ふっ、今日はやけに素直じゃん」

大雅は私の頭をぽんぽん撫でた。

「お前、さては俺のこと好きだろ?」

そんなことを訊くから。

「……うん、好き」

絶対に言わないと決めていた筈の言葉は、勝手に口からこぼれてしまった。

本気になってはいけないのが私達のルール。

でも、私は伝えてしまった。

例えルール違反でも……。

私達の恋人ゴッコが、ここで終わってしまうとしても……。

私はもう、伝えずにはいられなかった。

「めちゃくちゃ好き」

もう一度はっきりと伝えると、

「ふーん」

大雅はそう相槌を打って、私の身体を引き離した。

心臓がドクンッと嫌な音を立てた。

……やっぱり。

きっとこれから「終わりにしよう」と告げられてしまうのだ。

そう思った途端、涙が溢れてきた。

今想いを告げたばかりなのに、もう死ぬほど後悔した。

どうして我慢できなかったのだろう。

私は本当に大馬鹿だ。

大雅を失うよりも辛いことなんてないのに。

偽物でもいいから、傍にいたいのに。
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