偽物の恋をきみにあげる【完】
けれども、大雅の次の言葉は、そんな予想とは全く違うものだった。

「つーか、そんなの知ってるし」

大雅は私の鼻を指でピンッと弾いた。

「痛っ! えっ?」

「てか何べソかいてんの? あ、本気になったからフラれちゃうーとか思ってんでしょ」

大雅はからかうように笑うと、しゃがみこんでスニーカーの紐を弛め始めた。

「えっ、だって……違うの?」

「ハズレー。残念でしたー」

楽しそうに言いながら、靴を脱いでズカズカと家に上がり込む。

……なんで?

部屋に入り、ダウンジャケットをぽいっと床に脱ぎ捨ててベッドに座った大雅は、その様子にぽかんとしている私を見て、可笑しそうに目を細めた。

「瑠奈も座れば?」

そう促されて遠慮がちに隣に座ると、大雅は私の顔をニヤニヤと覗き込んできた。

「本気になっちゃダメって言ったけど、本気になったら終わりとは言ってないしー」

「……なにそれ……だったら最初から」

言いかけた私の唇を、甘いキスが塞ぐ。

幸福感で目眩がした。

唇を離した大雅は、その猫みたいな綺麗な瞳で、私をじっと見つめた。

「でも瑠奈、きっと後悔するよ?」

「後悔?どうして?」

聞き返すと、大雅はふっと頬を緩めた。

「俺にホレたら火傷するぜ?」

「……何言ってんのバカなの?」

私が呆れた顔をしたら、

「そのバカが好きでたまんないクセに」

と大雅は笑って、また私にキスをした。
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