偽物の恋をきみにあげる【完】
どうしてもカレーがいいと言って聞かない大雅に根負けして、帰りにスーパーに立ち寄り、材料を買った。

いっそインスタントで済ましてやろうかと思ったが、鼻歌を歌いながらルーを選ぶゴキゲンな彼を見ていたら、もうそんな気も失せてしまった。

家に戻り、滅多に使わない圧縮鍋を引っ張り出して、大急ぎでカレーを作った。

カレーが食べたいなら、昨日の内に言っておいてくれればいいのに。

私が料理をしている間、大雅はベッドに転がって例の雑誌を読んでいた。

何の雑誌か気になる。

後ろからこっそり覗いてみると、どうやらそれは旅行情報誌のようだった。

「大雅、どっか行くの?」

「ちょっ! 覗くなよ、スケベ!」

「スケベって……ねえ、それより旅行すんの?」

「いいだろ別にー。それよりカレーは?」

「もうできましたよー」

口を尖らせて私が言えば、大雅はベッドからむくっと起き上がり、

「じゃあ食おうぜ」

子供みたいに目をキラキラさせた。
< 48 / 216 >

この作品をシェア

pagetop