偽物の恋をきみにあげる【完】
こちらを見る猫目が、少し不機嫌そうに細くなった。

「そんなんじゃねーし」

大雅はあひるみたいな口を尖らせる。

「じゃあ何?」

「瑠奈の飯が食いたい」

「……はい?」

思わぬ回答に、間抜けな顔で聞き返した。

「あと、お前に文句がある」

「は!? 私に文句?」

週末で混んだ車内に、私の声が大きく響く。

つい声を荒らげてしまった。

途端に周囲の視線がこちらに向いたので、

「……私に何の文句があんの?」

慌てて声のボリュームを下げる。

「聞きたかったら飯作ってよ」

「……」

夕飯を作ってあげた上に文句を聞かされるとは。

なんとも理不尽な話だが、あんなことがあったあとだ、文句の内容は非常に気になる。

それに。

「…………何が食べたいの?」

結局私は、大雅が私を待っていたことも、手を握られていることも、「瑠奈の飯が食いたい」と言われたことも、全てが嬉しいのだ。

「瑠奈が作ってくれるなら、なんでも」

「……」

悔しい。

全然割り切れていない。

こんなただのセフレに、私の心は持っていかれたままだ。
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