偽物の恋をきみにあげる【完】
夕飯はカルボナーラに決定した。

スーパーに寄ったら、卵がちょうどタイムセールで、ベーコンがいつもより安く、そして生クリームが半額だったからだ。

とは言え、大雅とスーパーに行った時は、いつも彼が全部払ってくれるのだが。

「そもそも、瑠奈が覚えてないのが悪い」

カルボナーラをフォークに巻き取りながら、大雅は唐突に言った。

「覚えてない? 急になんの話?」

当然のように聞き返せば、

「ねえ、これカルボナーラなのに、チーズの味しなくない?」

全く関係のない一言が飛んでくる。

「あー、カルボナーラって、別にチーズなくてもできるから。私チーズ得意じゃないし」

「そういえば瑠奈、昔からチーズ駄目だよな。給食でチーズ出ると、いつも隣の席のヤツにあげてたし」

「そんなのよく覚えてるね」

「被害者の1人だからな」

そういえば中学の頃、大雅と席が隣になったことがあったっけ。

「被害者って、言い方」

「だって俺もチーズ苦手だったもん」

「え、そうなの? 全然知らなかった。ごめん」

「悪意のない悪行が一番タチ悪いよなー」

大雅はそう言って笑った。
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