偽物の恋をきみにあげる【完】
「なんかほんとごめんね?」

私はもう一度謝ってから、

「ところで、さっきの話の続きは? 私が覚えてないだのなんだのって話」

と軌道修正した。

「あー。こないださ、俺……瑠奈のこと泣かしちゃったじゃん?」

少し気まずそうに言う大雅に、

「ああ、そんなことあったね」

私は気にしていない素振りで相槌を打つ。

「悪かったなって。だから連絡もしづらかったんだけど」

「そんな気にしなくていいよ」

「いや、気にすんだろ。……つーかすげー違和感あったから考えてみたんだけどさ。お前、酔っ払ってて覚えてないんだね」

「だから何を?」

「俺とお前の約束」

「約束? 何の約束?」

本当になんの話だろう。

大雅は少し笑って「こないだも言いかけてお前に遮られたんだけど」と前置きした。

「俺達の関係は、恋人ゴッコ」

「……恋人、ゴッコ?」

「再会して、飲み行ったの覚えてる? そこで、約束したんだよ。恋人ゴッコしようねって」

「えっ!?……うそ、なにそれそんなの、覚えてない。なに恋人ゴッコって……」

「聞いても思い出せないの? お前泥酔し過ぎ」

大雅は溜め息をついた。

「あの時決めたゴッコのルールは、ひとつだけ」

「ルール? ……なに?」

「絶対に本気にならないこと」

大雅は淡々とした口調で言うと、パスタを口に運んで「うま!」と笑った。
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