偽物の恋をきみにあげる【完】
大雅が「姫始めさせて」なんて馬鹿なことを言い出して、笑いながら今年最初のキスを交わした。

ふざけているのに、キスしただけで泣きたくなるほど幸せな気持ちになる。

「俺、お前とキスすんの、好き」

大雅がその猫みたいな目を細めて笑った。

「私も。キスするの好き」

好き。

どんな瞬間にも口から零れ落ちそうになる言葉は、ワンクッション挟まないと伝えることもできない。

好き、好き、好き。

隅々まで愛撫され、快感に身を震わせながら、頭の中で何度も何度も「好き」を繰り返した。

「……お前とセックスすんのも、好き」

中に入ってきた大雅は、私をぎゅうっと抱き締めて言った。

「私、も…………あっ、あっ」

私が答え終わる前に、彼は私を激しく攻める。

「んっ……あっ……ああんっ」

「……その声、好き……ね、もっと喘いで?」

私のことは?

「やだ恥ずかしっ、やっ……あんっ、あ、んんんっ」

「……ハア……感じてる顔もまじ好き……もっと感じて?」

ねえ、私のことは?

「あっあっ、それダメッ、大雅、大雅っ」

イきそうになった私の唇を、大雅が塞いで涎まみれにする。

好き、好き、大好き。

「んんんんっっ!!」

「……瑠奈、すげー可愛い」

可愛い、ね。


大雅はずるい。

私を好きだとは、絶対に言ってくれない。

……別に、いいけど。
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