偽物の恋をきみにあげる【完】
『竜馬がゆく?』

少しだけ間を置いて、コタローくんから返信が来た。

『急に渋いとこ来ましたね(笑) 昔読みましたよ』

「おもしろい?」

『ええ。読みやすいし、僕は好きです』

年が明けても、結局コタローくんは敬語のままだ。

でも、私もすっかり慣れてしまった。

今更急に『ちょー読みやすいよ~』なんて口調でメールが来たら、たぶん「誰!?」と突っ込んでしまいそうだ。

「へえ、読みやすいんだ? わりと堅そうなイメージなのに」

『ええ。ひらがなと漢字のバランスがいいです』

「コタローくんらしい観点だね」

コタローくんの書く小説は、ひらがなが効果的に使われている。

だからこそ、深く心に染みる。

普段漢字を使ってしまいそうな所を、敢えてひらがなを使うことで、さらりと読んでしまいそうなその文章をよりじっくり噛みしめられる、そんな気がする。

まあ、あくまで私個人の感想だが。

私はそもそも、難しい単語や漢字ばかり並べる作品が、あまり好きではないのだ。

読みづらくて仕方がない。
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