偽物の恋をきみにあげる【完】
年が明けても、私の仕事はわりと暇だ。

私は平野主任の直属なので、主任が馬鹿みたいに忙しくならない限りは、私も暇できるのだ。

そういえば平野主任は、私のことはすっかり諦めてくれたようで、全く誘って来なくなった。

町田姉さんの情報によると、経理部に新しく入った派遣の子に猛アタックしているとか。

町田先輩はとにかく耳が早い。

いつもどこからネタを仕入れているのだろう。

平野主任は毎日機嫌がよさそうなので、その子も満更ではない態度なのかもしれない。

とにかく、上司が元気そうで何より。

他人事になれば、どうだっていい案件だ。

私の仕事は顔だけ主任のお陰で落ち着きっぱなしだが、同じ企画部内でも、喜多野課長のチームはとても忙しそうだ。

私が朝出社すればもう仕事をしているし、電話はひっきりなしに鳴るし、やたら外出するし、定時が来ても全く帰る気配はない。

うちの企画部は、正しくは営業企画部という。

営業と企画両方を担うので、ひとたびプロジェクトが始動すれば、終わるまで死ぬほど忙しくなることもある。

もしも喜多野課長がコタローくんだとしたら、仕事の疲れを労ってあげなくては。

なんて、業務中ふざけた妄想をするほどに、私の仕事は暇だ。
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