偽物の恋をきみにあげる【完】
でも、もしかしたら本当に、喜多野課長がコタローくんなのかもしれない。

そんなあり得ないことを真面目に考えてしまったのは、コタローくんが火曜、水曜と立て続けに、夜11時の連絡をくれなかったからだ。

こちらからDMを送っても既読がつかないし、サイトに出入りしている様子もない。

私達の繋がりはメールとムーンリバーだけだから、初日はものすごく不安になった。

けれど、次の日の朝に

『ほんとにすいません! 寝落ちしてしまいました(T_T) 』

翌朝も、

『わー、2日連続すいませんっ!!』

というお詫びメールを送ってくれたので、私はすぐに安心できた。

そして安心ついでに、おかしな可能性を考えてしまったのだ。

寝落ち……コタローくんは今、疲れて寝落ちするほど忙しいということ?

……また喜多野課長と同じだ。

名前似てるし口調も物腰も似ているし、眼鏡をかけているし、今忙しいし。

一致し過ぎ。

やっぱり、コタローくんは喜多野課長なのではないだろうか。

でも……もしそうだとしたら、私は喜多野課長とお付き合いをしているということ?

あんなに素敵な人と、私が?

あまりにも不釣り合い過ぎて笑えた。
< 96 / 216 >

この作品をシェア

pagetop