無愛想な王子は理想の花嫁に求婚する
「ティアナ！」

呼ばれて振り返ると怖いくらいの眼差しで此方をじっと見つめているアレクシスがいた。

……怒ってる……？

身に覚えがあるようなないような……あれのことか、いや、あっちのことかもしれない。と考えているうちにアレクシスは目の前にまで来ていた。

「……じゃあ、ティアナ、約束覚えておいてよ？」

ユアンの言葉に頷くと、ユアンは、じゃあね。と微笑み片手を上げ歩き出すが、アレクシスとすれ違う時には挑発するように不適に微笑む。
そのユアンの態度にアレクシスの視線は鋭く睨み付けるが、ユアンはさして気にしていないかのようにその場を去っていった。

「……ティアナ」

かけられた低い声に思わず肩が跳ねてしまうも平静を装いつつ、はい……？と答えてみるがアレクシスは未だに不機嫌そうにティアナを見下ろしていた。

「約束……」

呟かれた言葉に首を傾げる。
アレクシスは一度は口ごもるも、もう一度口を開きティアナに問う。

「約束とは、なんだ」

その言葉に、何を言われるのかと身構えていたティアナは毒気を抜かれたようにきょとんとするが、アレクシスの不機嫌さは変わらない。
じっと見つめられ答えを求められると、ティアナは徐に口を開いた。
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