無愛想な王子は理想の花嫁に求婚する
【今度、ユアン殿下の馬に乗せてもらう約束をしました】

「馬?」

【はい、ユアン殿下の馬は白馬だそうですよ】

ご存知でしたか?と問いかけるティアナにアレクシスは、ああ。と短く返事をするが、ほんの僅かな間何かを考えてティアナに視線を戻した。

「ティアナは馬に乗れるのか?」

【いいえ】

「では、どうやって乗るつもりだった」

【ユアン殿下が一緒に乗せてくださると……】

そこまで言ったとき、その場の空気が一瞬凍りついた。
アレクシスの瞳は鋭く細められ、そのせいか表情もいつもより数段冷たく感じる。
ティアナが思わず口を動かすのを止め固まると、アレクシスは大きく溜め息をついた。

【あの……なにか怒ってますか……?】

「怒ってはいない。
いや……ユアンに怒ってはいるが、ティアナには怒っていない」

何故ユアン殿下に怒っているのだろう、喧嘩でもしたのだろうか?
とティアナは思案するも、到底答えがわかるはずもなく、この場をどうしたらいいのかと困ってしまっていた。
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