あの日勇気がなかった私たちは~卒業の日~
やってしまった。貴重な勉強時間を居眠りで無駄にするなんて・・・

自己嫌悪に陥る私に一ノ瀬くんが声をかける。

「とりあえず、帰ろうか。もう校門閉められちゃうし」

「そうだね」


一ノ瀬くんに返事を返して、荷物をまとめる。
今まで同時に教室を出たことがなかった私たちは、横に並びながらも昇降口に着くまでほとんど無言だった。

「かなりぐっすり寝てたね、疲れてた?」

「うん」

会話といえばそれくらい。

さらに電車通学の私と違って、一ノ瀬くんは自転車通学なので正門でわかれた。


一人きりの帰り道、勉強をするために残っていたのに寝るなんて、という自己嫌悪の合間に感じたのはなんだかくすぐったい感情。

いったいどうしてくすぐったいと感じたのか、それは私にもわからなかった。
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