あの日勇気がなかった私たちは~卒業の日~
ーーー突然話聞いてもらってごめん、だけどどうしても聞いて欲しくて。


俺は自分で言うのもなんだけど、そこそこ顔がいいと思っている。だから女子から告られることも結構あった。


高校一年生のときは一つ上の先輩と付き合っていた。
俺の部活のマネージャーをしている人で、しっかりしている美人な人だった。

そんな先輩が年下の俺のどこを気に入ったのかはわからないけれど、夏休みに部活メンバーでいった夏祭りで告白された。
先輩のことはずっときれいな人だとは思っていたけれど、恋愛感情は持ち合わせていなかった。
だけど告白されていやな気分ではなかったのでOKした。


付き合ってからは毎日一緒に帰ったり、部活の休みには二人で出掛けたりした。
俺なりに先輩のことを大切にしていたし、付き合っているうちに愛情も抱くようになったと思う。



転機が訪れたのは二年生の春。
あいかわらず先輩との交際は続いていて、順調だと思っていた。

そう、俺はうまくいっていると思っていたんだ。
でも先輩はそうじゃなかった。


「え・・・?」

「だから、別れて欲しいの私と」

ゴールデンウィーク直前、部活終わりに俺は別れて欲しいと先輩に言われた。
なんでも前から好きだった人に告白されたらしい。
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