あの日勇気がなかった私たちは~卒業の日~
その段になって初めて俺は先輩にとってスペアでしかないことを知った。
先輩の好きな人のスペア。

好きな人が別にいるのに俺と付き合っていたことは問題なのかもしれない。しかし俺自身も先輩に恋愛感情を持って付き合い始めたわけではないから、ダメージは少なかった。
むしろずっと好きだった人とようやく結ばれるのだ、幸せになって欲しいとさえ思う。

だから先輩とはすんなり別れた。
そして先輩はずっと好きだった人と付き合い始めた。


それからはずっと部活に打ち込み、しばらく恋愛とは離れていた。
そのぶん部活仲間との友情や絆はさらに強固なものとなった。


そして気づけば高校三年生。やり続けた部活も引退し、本格的な受験勉強を始めた。
俺は国公立志望ではなく、私立志望だが第一志望はそこそこのレベルなため、しっかりと偏差値を上げる必要があった。


一夏を初めて部活ではなく勉強につぎ込んだ。たまに部活仲間とご飯に行ったり、体を動かしはしたがそれ以外は基本勉強に充てた。
その成果はちゃんとあったと思う。


夏を乗り切った俺には文化祭という高校最後の行事が待っていた。

面倒くさい仕事は避けて、楽しむつもりだったがじゃんけんに負けて呼び込み係をすることになった。
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